今夜あなたをまつり縫い

31歳独身女のただの日記。仕事は縫製工場です。手先の器用さに自信あり

見ず知らずの人のほんのちょっとのやさしさに涙が出た

仕事の帰りにスーパーに寄った。
スーパーに寄った時には、すでに18時を回っていた。

私はこの時間が好きだ。なぜなら、商品の値下げシールが張られる時間でもあるから。

店内に入った時、商品棚に向かってシールを打ち出している店員が見えた。私は今日は何を食べようか。どんなものが値下げになっているのかが気になり、一目散に歩いて店員に向かっていった。

おそらく前をよく見ていなかったと思う。私の目に映っていたのは店員だけだから。

そのため、私は左側にあるダンボールに気が付かなかった。
いや、もしかすると無意識に気が付いてよけたつもりが、よけるほどの距離感がなくてバックが当たってしまったのかもしれない。

気が付いた時には、ダンボールが倒れ、その中にあるキャベツの葉っぱが床に散らばっていた。

あー何てこと!

そう思って、しゃがんでキャベツの葉っぱを拾い始めたら、なんと近くにいたおばちゃんが一緒に拾ってくれた。
そのおばちゃんは、ひとりごとのように「大丈夫、大丈夫」と言いながら。

私の方を見るでもなく、誰かに言うでもなく、ただつぶやいていた。

それを聞いて、なんだか温かい気持ちになった。

私が値下げ品獲得に欲が出て、ぶつかってしまった出来事なのに。おばちゃんは優しく手伝ってくれた。そしてある程度拾ったら、黙って去って行った。

そのあと、値下げ品のシールを貼った店員が私の方に向かってきて、「早く!今日もいろいろありますよ」って教えてくれた。

こんなアクシデントもありながら、私は値下げ品を吟味して、今晩の夕飯を手に入れることができた。

見ず知らずの人に助けられて、ちょっとやさしさで心が温かくなった日だった。
いつもの夕飯だったけど、ちょっとだけやさしさで美味しい味がした。

ホールケーキが持つ問題に直面

休日、ケーキを焼いてみた。
暇つぶしに読んだ雑誌に載っていた、バスクチーズケーキ。
普段お菓子作りはそんなにしないんだけど、絶妙な焼き加減っていうのに挑戦してみたくなった。

バスクチーズケーキをきれいに焼くコツは、材料が少ないからといって甘くみず、しっかり丁寧に混ぜ合わせること。
混ぜ合わせる順番も、もちろん大事!
そしてオーブンの温度は、思い切って高熱に設定すること。
低すぎるとバスクチーズケーキ特有のあのこんがり焼きが出来ないし、黒く焼けたなと思った頃には、中のしっくりクリーミーなチーズケーキがパサパサして台無しになってしまう。
表面と内部をバランスよくいい感じに焼き上げるには、この温度設定が肝心というわけ。
もちろん予熱も忘れずに!

そんな感じで仕上がったケーキはどうだったか?
当然結果は、大成功。
自分としては、正直雑誌に載っている写真より上手く、美味しそうにできたと思う。
料理好きの私がいうんだから、間違いなし。
予想以上の出来栄えに、かなり自尊心が満たされる。

さて、問題はこれを誰と食べるか。
ホールケーキの厄介なところは、とてもおひとりさまの女向きじゃないってこと。

友達でも呼ぶ?
仕事仲間のおばちゃんに差し入れでもする?

少しだけ迷って、結局は自分で食べることにした。
たまには贅沢に、ワンホールにフォークを指すのだっていいじゃない?

こんがり焼けた箇所にフォークの先を指したら、パリッと音がした。
そのまましっとりしている底の部分まですくい上げ、口への運ぶ。
うん、美味しい。
さすが、私。
うっとりとその美味しさに浸りながら、ちょっとだけ悔しさも感じた。
美味しいければ美味しいほど、他人に食べてもらいたくなる事実を思い出したから。

なかなか大変だったコールセンターという前職のこと

ぶっちゃけてしまうと今の仕事の方が断然私に合ってて、前職のコールセンターは合わなかったなと思う。
これはあくまで私には合わなかったというだけで中にはコールセンターが合う人もいるからそこは間違えないようにして欲しい。

そもそもの話だけど、もともと電話をするということがあまり得意ではなかったし、コールセンターって1日に全く知らない人と顔は見えないとは言えたくさん話す仕事だから本当に大変。
顔が見えないだけマシな部分はあるのかも知れないけど、お客さんの中にはクレーマーとかそこまでは行かないけどきつい言い方をして来る人もいる。
そういう人の対応をすると必ず電話対応が長引くしメンタルがやられていたな。

テレビで見ている分にはコールセンターってクリアなイメージを持っている人もいるかも知れない。
私の友人にもそう思っている人がいたのはちょっとウケたんだけど、そんなことはない。
動かない仕事だけどかなりハードな仕事で、その人に合わせて臨機黄変に対応しなければいけないから頭も使うしかなり大変。
例えばレストランの接客であればただオーダーを取って注文された料理を運べばいいけど、電話対応をしているとイレギュラーなことを言って来るお客さんもいる。

だから本当に電話対応って気合いが必要だよ。
メンタル弱い人はあまりやらない方がいいかも。
中には入社したと思えばすぐにやめてしまう人もいるし、そういう人を何人も見て来た。
けどお客さんから「親切にありがとう」と言われた時は嬉しかったな。
今の仕事ではお客さんから直接そう言われることって絶対にないから、お客さんから感謝されるのはコールセンターの醍醐味だった。

今もまだ働いている人と一部連絡取ってる人がいるけど頑張って欲しい。

頼まれたついでの推しぬいのことについて調べてみた

友人から「●●ちゃん、推しぬいって作れる?」とLINEが入った。
最近流行っている推しをぬいぐるみ化するアレである。
友人ではなくて妹さんが作りたいと思っているみたいで、縫製工場で仕事している私に連絡て来たみたい。

推しぬいは存在は知っているし、アニメキャラのもあるけどK-POP界隈でも持っている人がたくさんいる。
ただ、詳しくは分からないし、K-POP界隈の場合はメーカー製なのかよく分からないけど「韓国ぬい」とか呼ばれる元々の裸で顔が描いてあるぬいぐるみを買って作っている人か、元々このグループの誰々くんとして売り出されている物が多い気がする。

どうやら遠回しに私にお金を出すから作って欲しいみたいなんだけど、ぬいぐるみは作り慣れているわけではないから本音は面倒くさい。
取り合えず縫製の仕事をしている上で推しぬいについて知っておくのも悪くないなと思って調べてみたけど、韓国ぬい以外にも元々裸の状態で人体のベースだけ販売されていることも分かった。
でもそこから目を付けたり髪の毛を付けたりとかなかなか大変そうだなと。

調べてみると推しぬいの作り方に関する本も出ていることを知った。
取り合えず面倒なので友人には「妹さんにこういう本があるので見てみればいいんじゃない?」と伝えてみたけど、私ってもしかして冷たい?

ぬいぐるみの何が難しいかって、服と違って立体的に作らないといけないから。
その部分は先程書いた人体の部分だけ購入すれば早いけど、そこから目や髪の毛を付けるのは大変そうだ。
服装に関しては私にとっては一番難易度が低い部分ではあるんだけど、それでも手芸に慣れていない人が作るのはかなり大変だと思う。

他には1から作るのではなくカスタムぬいという、クレーンゲームのぬいぐるみをリメイクして作るう方法があるらしい。
奥が深い推しぬいの世界…。

嘘も方便、良い夢を見たわ

仕事に行こうとしたら
母親、「その格好で行くの?」
私、「ダメ?」
母親、「ダメって、乳首が透けてるじゃない」
私の職場は、工場長を除いて女性ばかり。しかも、仕事をする時には社名の入ったエプロンをするため、「格好なんてどうだって良い」。

職場に行くのに車に乗ると、ガソリンが少ない、ツイてないなー。
セルフのGSで給油をしていると、オッサン達にメッチャ見られ、「31歳の私、まだイケるじゃない」。

職場には男の工場長がいるため、車を降りたらエプロンをする。

「お・は・よ・う」、私に声を掛けてくれたのは外国人労働者の女の子。
その女の子は、ホットパンツにタンクトップ、しかもノーブラだから、エプロンをしていてもメッチャエロい。
私、「寒くない?」
外国人労働者の女の子、「(笑)」
日本語はまだ理解出来ないようだ。

事務室の前を通る時には、工場長が見ているから会釈をする。
その後は休憩室(更衣室)へ行き、同僚らのオバちゃんらと無駄話をする。

同年代の同僚、「昨日は帰ってから何してた?」
私、「いつもと同じよ」
同僚、「最近どう?」
私、「ボチボチ」
同僚、「相手はエンジニア」

オバちゃん、「エンジニアって何?」
同僚との会話に、オバちゃんが割り込んで来ることは珍しくない。

私、「エンジニアは機械を開発する人じゃないかな、知らんけど」
同僚、「会ってるの?」
私、「一度会った」
同僚、「どんな感じだった?」
私、「エンジニアだけあって、インテリな感じだった」
オバちゃん、「良いな若い人は。私なんて、イイネをしても無視されるのよ」
私が働く職場では、老若男女に関係なく出会い系サイトが流行ってる。

私、「どのサイトを使ってるの?」
オバちゃん、「◯◯」
オバちゃんが利用している出会い系サイトは、熟女との出会いをウリにしており、そのサイトを利用しているオバちゃんは黒色のブラジャーをしていた。

同年代の同僚、「出会い系サイトのプロフィールはどうしてる?」
私、「正直に書いてあるわよ」
同僚、「プロフィールを見て良い?」
私、「良いわよ」
同僚、「何が正直よ。職業欄がアパレルとなってるじゃない」
私、「広い意味ではアパレルでしょ」

仕事を終えた私は、弁当屋さんに寄った。
店員さん、「仕事は終わった?」
私、「うん」
社名の入ったエプロンをしているため、店員さんは私が何処で働いているかは知ってる。

店員さん、「いらっしゃいませ」
私の後に入って来たお客さんを見て言葉を失った。なぜなら、油で汚れた作業着を着ていたお客さんは、私が出会い系サイトで知り合ったエンジニアだったから。

私は「何がエンジニアよ!」と思ったのだが、出会い系サイトで知り合った男も私のことを「何がアパレル勤務だよ!」と思っただろう。
なぜなら、私は社名の入ったエプロンをしていたから。

浮気をされたことは今でも結構傷付いている

職場のオバちゃんたちからも友人や知り合いとかからも、「●●ちゃんは家庭的だね」とよく言われる。
家庭向きだなということは私も自負している部分は確かにある。
料理も得意だし、私の旦那になる人はいい物食べられるぞとは思う。
けど結婚するつもりはないし、今は結婚のことは正直考えたくないのが本音。

一時期は結婚することも考えたりしたりしていたけど、前の彼氏が浮気したことで破局した。
ずっと相手のことだけを一途に思っていたのに他の女とも付き合っていたということでかなり頭に来たし、もうそんな奴とは付き合ってられないと思ってちょっと男性不信になっている。

職場のオバちゃんから「いい人いいの?」「結婚しないのもったいない」とよく言われるけど私の好きにさせて欲しい。
オバちゃんたちって多分浮気とかされた経験がないんじゃないのだろうか。
あくまで思い込みではあるけど、浮気されたら結婚することに対して慎重になるというか、それ以前に彼氏を作ること自体考えてしまう。

将来子供を作るならば本当であればそろそろ考えないといけないのかも知れない。
今は晩婚化や高齢出産は進んでいるけど子育てするには少しでも若いうちの方がいいだろうし。
でも浮気のせいでやっぱりそういう気持ちにはなれない。

職場のオバちゃんの中には旦那さんの愚痴を言って来る人も結構いて、そういう話を聞いているとやっぱり面倒くさそうだからフリーがいいなと考えてしまう。
子育てもお金が掛かるからこうして仕事を続けていると言う人もいるし、現実的に考えると結婚ってやっぱり凄くハードルが高い。

それに浮気をする人の心理が分からない。
男もだけど女も。
なんで相手に対して一途にならないのか、相手に対して申し訳ないなという気持ちにならないのかが疑問。

浮気されて傷付きたくないから暫くはおひとり様を満喫したい。
だからあまり結婚はまだなのという話をしないで欲しい。

販売会の翌日はファッションショー

工場の中はミシンの音が響き渡るのだが、午後からは気分転換のためにラジオが流れる。
かつては、音楽の有料放送が流れていたらしいのだが、不景気になるとお金の掛からないラジオになった。
ミシンの音が響き渡っていても、同僚らは案外ラジオを聞いてるため、ニヤけるタイミングが皆同じ。

私がミシンで縫っているのは、某ブランドの衣類。
私が働く工場の社長はヤリ手のため、各種ブランドの衣類を縫っているのだが、薄給の私では買えない。

パートのオバちゃん、「〇〇は有名なブランド?」
私、「うん、有名。この前、△△さん(著名人)が着てたわよ」
オバちゃん、「何処で売ってるの?」
私、「ブランドショップ。知らんけど」
オバちゃん、「私達が縫ってるスカート、幾らで売ってるの?」
私、「ショップで買えば5.6万するんじゃないかな。知らんけど」
オバちゃん、「あんなのが5.6万もするの」
オバちゃんが、「あんなのが」と表現するのは無理もない。なぜなら、私達が縫っているブランドのスカートとは、どっちが前でどっちが後ろなのかイマイチ分からない奇抜なデザインだから。

家で家族と食事をしていると
母親、「明日、販売会でしょ?」
私、「うん。来るの?」
母親が言う販売会とは、私が作った衣類を、工場の空きスペースで格安で販売すること。
ショップで買えばメッチャ高いのだが、傷物や在庫品のため破格。

工場が販売会をするのは地域貢献ではない。決算で現金が必要だからだ。
販売会を任されるのは、若くて見た目の良い従業員。
なのに、同僚のオバちゃんらは、販売会の日は、普段しないメイクをバッチリしてくる。

工場が普段と違う匂いがするのは、従業員のオバちゃんらがコロンを付けてくるから。
そのコロンのせいで、年配工場長は咳き込む。
工場長、「販売会はAさんにやってもらうから」
すると、オバちゃんらが一斉に不貞腐れるのは、販売会を任されたのは工場長お気に入りの事務員だから。

販売会の日は、事務員も、いつもよりメイクが濃く、普段しないラメ入りのマニキュアをしている。

工場長、「受付はBさんがやって」
Bさんとは私のこと。
受付を任されるってことは、今日の私はイケてるってこと?

パートのオバちゃん、「貴方が選ばれたのはコールセンターで働いてたからよ」
ババアは言わないで良いことまで言うため、ムカつく。

販売会には、工場で働いている者の家族や近所の人、普段付き合いがある弁当屋さんなどが来てくれる。
普段、ミシンの音しかしない工場でも、色んな人が来てくれて賑やかになる。

販売会の翌日、町が騒然とするのは、私の母親など年配のオバちゃんらが、ブランドショップで売っている奇抜なデザインの服を着て町を颯爽と歩いているから。