今夜あなたをまつり縫い

31歳独身女のただの日記。仕事は縫製工場です。手先の器用さに自信あり

何年ぶりだろう?ニキビができたのは

金曜日
パートのオバちゃん、「今度の朝礼、貴方が当番でしょ?」
私、「言わないでよ」
オバちゃん、「朝礼で話すことは決まったの?」
私、「まだ何も決まってない」
オバちゃん、「あんなの適当で良いのよ」
私、「はあ(ため息)」
私が働く工場では、月曜日の朝礼時に当番制で、1週間の目標を時事ネタを交えながら話さなくてはならない。

工場で仕事をしている時は、ミシンの音が「カタカタ」とずっと鳴っているため、それが気になって朝礼で話すことを思い付かない。
「カタカタうるせえよ」と思っていると、任侠映画のワンシーンである「ガタガタうるせえよ」のセリフとかぶり、ちょっと笑えた。

同年代の同僚、「大丈夫?」
私、「何が?」
同僚、「今、ニヤついてたわよ」

仕事は朝から晩まで同じことの繰り返しだが、朝礼で話すことを考えているとミスばかりしてしまう。
パートのオバちゃん、「一服しておいで」
と言ってオバちゃんに渡されたのは、手のひらサイズのポーチ。
そのポーチを持って行くのはトイレ。
個室トイレのドアを閉めて、オバちゃんから渡されたポーチを開けると、中にはタバコとライター、それとナプキンが入っていた。
「オバちゃん、まだ、ナプキンを使うんだ」、と思いながらタバコに火を付けた。

高校生の時もそうだったけど、個室トイレで吸うタバコって美味しいよね。
でも、朝礼のことを思うと、口から出るのはタバコの煙より溜息のほうが多い。

家に帰っても、朝礼のことを思うと憂鬱。
せっかくの休みも、朝礼のことで頭が一杯。
母親、「どうしたの?」
私、「朝礼で話すことを考えているの?」
母親、「そんなの何だって良いのよ」
私、「そうはいかないわよ」
母親、「どうして?」
私、「だって、話し終えると、皆が拍手をするんだから」
母親、「どうして拍手をするの?」
私、「良く頑張ったという意味じゃないの」

母親、「話すことが無いなら、歌でも歌えば良いじゃない」
私、「・・・」

朝礼で話すことばかり考えていたら、顔にニキビができた。
ニキビが出来たのは、何年ぶりだろう?

月曜日、工場に行くと
パートのオバちゃん、「頑張ってね」
私、「工場を辞めようかな」
同年代の同僚、「結婚もしてないのに辞めてどうすんの」

工場長の挨拶が終わると
工場長、「今日の当番は誰だ?」
私、「私です」

考えて来たことを話そうとすると
事務員さん、「工場長、お電話です」
工場長が事務室に行くと
パートのオバちゃん達、「話さなくても良いわよ。どうせ聞いてないから」

工場長が戻って来ると、パートのオバちゃんらは一斉に拍手をしてくれた。
工場長、「終わったか?」
私、「はい」

席に戻ると
パートのオバちゃん、「一服しておいで」
と言ってオバちゃんに渡されたのは、手のひらサイズのポーチ。
個室トイレに行って、そのポーチを開けるとナプキンはなかった。