今夜あなたをまつり縫い

31歳独身女のただの日記。仕事は縫製工場です。手先の器用さに自信あり

同僚のオバちゃんは、未来の私?

仕事でマスクをしているのは、身元がバレないようにするため。
これはウソ、他の者が全員マスクをしているから。

工場には私と同年代と思われる女性が沢山働いているが、職場では喋らない。
昼休み、お手製の弁当を食べるのは既婚者。
コンビニのパンを食べるのは、地元に住んでいる若者。
パンでも割引のシールが貼ってあるのは、訳ありの人。
食事を終えたら、やることない私は割引のシールを剥がす。

学校でもないのにチャイムが鳴ると、食堂にいた者は一斉に職場(作業場)に戻るのだが、その際、私はゴミ箱に割引のシールを捨てる。

一斉にミシンの音が聞こえると、窓際の席にいる人が窓を閉める。
仕事をしていると、肩をトントンと叩かれるのは、ミシンがうるさくて耳栓をしているから。
私、「何?」
私の肩を叩いた人、「◯▲◇◯▲◇」
私、「聞こえない」
聞こえないのは、耳栓をしているから。
耳栓を外して
私、「何?」
私の肩を叩いた人、「???」
「何?」が伝わらないのは、私がマスクをしているから。
マスクを外して
私、「何?」
私の肩を叩いた人、「???」
マスクを外しても、「何?」が伝わらないのは、私の肩を叩いた人も耳栓をしているから。
耳栓に気付いたため
私、「何?」
私の肩を叩いた人、「工場長が呼んでるよ」

事務室を見ると、工場長が「おいでおいで」と手招きをしていた。
工場長に呼ばれ席を立つと、他の者が一斉に私のことを見る。

事務室に入ると、ミシンの音は聞こえない。
工場長、「Aさん(私のこと)って付き合っている人はいるの?」
私、「どうしてですか?」
工場長、「お見合いの話があるんだけど」
私、「彼氏ならいます」
工場長、「彼氏とは結婚するの?」
私、「いずれ」

工場長、「お見合い相手の写真だけでも見てみる?」
私、「遠慮しておきます」
お断りしたのは、お見合い相手のことは、同僚から聞いて知っていたから。

職場に戻ると、ミシンの音はメッチャするのだが、同僚の「お見合いの話だったでしょ?」は聞き取れたため、うなずいた。

仕事を終え家に向かっていると、同僚のオバちゃん達からお茶の誘いのメールが届いた。
オバちゃん達がいる喫茶店に着くと、店内ではオバちゃん達がメッチャ笑顔で話している。
茶店のドアを開けると、客が来たことを知らせる鐘がカラーンと鳴った。
私に気付いたオバちゃん達、「こっちこっち」
オバちゃん達に近付くと
オバちゃん、「お見合い相手はプレス屋さんだったでしょ?」
私、「相手のことは聞いてない」
オバちゃん、「写真は見なかったの?」
私、「うん」
オバちゃん、「どうして見ないのよー」
工場で働いている時と違い、同僚のオバちゃん達はメッチャフレンドリー。

オバちゃん、「彼氏は出来たの?」
私、「まだ出来ない」
オバちゃん、「イイ男紹介しようか?」
私、「良いわよ」
断ったのは、どうせ喫茶店のマスターだから。
茶店にいるネコは私に懐いているが、私は猫アレルギー。